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本サイトは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医薬品等規制調和・評価研究事業における研究開発課題「アカデミアにおけるCDISC標準利用促進に関する研究開発(研究開発代表者:国立病院機構名古屋医療センター 齋藤俊樹、研究開発期間:第2期 令和4年度~令和6年度1期 令和元年度~令和3年度)」の一環として整備を推進しています。

2期(2022年度)研究開発計画書より抜粋

1.基本構想

(1)研究開発の目標・ねらい

1) 本研究の目的

本研究開発によりアカデミアにおける負担を軽減し、CDISC標準活用が広範に広がることにより、臨床研究遂行、エビデンス取得のスピードアップ・効率化、承認申請・審査の円滑化、最終的には新しい医療技術の適正かつ早期の臨床応用及び実用化に結びつくことが本研究開発の目標である。また諸外国においても標準化は良いと分かりつつもアカデミアにおけるCDISC導入は極めて限定的に行われているのが現状であり、日本が他国に先駆けてアカデミアでのCDISC普及およびRWDへの適用が進むことにより、世界に先駆けた国際規格・基準の策定の提案等につながることもねらいの一つである。

本研究ではCDISC標準準拠データ作成におけるアカデミア施設間情報共有・連携を視野に、CDISC対応されたaCRFなどRWDを含む臨床研究に関する資料・情報の提供体制としてCDISC情報共有ポータルサイトの拡張・運用、および教育コンテンツおよびツールの提供体制の提言・構築を行う。

2) これまでに得られた成果と本研究の特色や優位性

我々は臨床研究・治験で実際に使用されたaCRFの情報提供を含め、CDISCに精通したアカデミア等のノウハウを可能な限り他のアカデミア施設に広く情報提供するために2019年度AMED研究開発にてインターネット上にアカデミア間情報共有ポータルサイト(aCRF.jp)を構築した。日本のアカデミアにおけるCDISC対応の底上げを目的にaCRF実例、CDISC関連ツール、CDISCに関する情報リンクが現在公開され、制限なく利用可能なウェブサイトとしてパイロット的に運用が開始されている。このポータルサイトはCDISC本体のウェブサイト(英語)との相互リンクを既に行っているが、予算的な制限より現在アップロードされている日本語コンテンツはブラウザの翻訳機能を用いても他の言語に変換表示することが出来ない仕組みとなっている。

また2019年度AMED研究開発においては製薬企業、CRO、アカデミアへのアンケート調査により国内のアカデミアにおいてCDISCは未だ十分には普及しておらず、リソース、人材の欠如が最大の問題であり、教育の機会を求めている一方、製薬企業においてはAROへの期待が一定程度存在することが分かっている。本研究はすでに論文化された、2019年度AMED研究開発の継続研究開発として策定されており、すでに助走がついていることが優位であり、研究参加者がCDISCに造形が深いと共に広く周知可能なネットワークに属していること、またCDISC本体とも連携可能な状態にあることが特色である。

3) 本研究期間での達成目標

・薬事承認のための治験のみならず、観察研究やレジストリなどリアルワールドデータ(RWD)へのCDISC標準の適用具体例の公開を含むポータルサイトを多言語対応等の拡張を行い運用する。

・アカデミアで導入を推進するため動画を含む分かりやすい教育コンテンツの作成・提供およびCDISC標準でのデータ蓄積を行った際に利用できる汎用プログラム、ツールを開発・提供体制を構築する。

・データモニタリングや統計解析に関するすでに存在するCDISC標準化の具体的、定量的なメリットを整理し、アカデミアに広く周知する。

第1期(2019年度研究開発計画書より抜粋

1.基本構想

(1)研究開発の目標・ねらい

本研究の目的はアカデミアのCDISC標準導入に関する課題・情報を整理した上で解決案を提案すること、およびDCを有する施設と他の施設との施設間連携体制構築の一環としてアカデミア間情報共有ポータルサイトの構築を行い「既にマッピングされた事例」をDCを有する施設より登録・公開し、他の施設がそれを利用することにより広く連携体制を構築することである。

(2) 研究開発の背景

CDISC標準を実務で用いているアカデミアは僅かであり、データセンター(DC)を有する施設に求められる機能及び施設間連携の際に想定される課題、データ作成から企業等への提供までの過程でアカデミア内や施設間で共有すべき情報の整理がなされていない。また実務としては各入力項目にCDISCで定義された変数と既定の選択肢を当てはめていくマッピング作業が中心となるが、非常に時間がかかり、正しく行うために必要なCDISCに関する豊富な知識と実務経験を持つ人材の確保は困難である。

これを解決するためには既にDCにてCDISC標準が日常業務に導入され、CROに全てを委託することなく、CDISC標準を理解しているアカデミアが中心となり、CDISC標準導入に関する課題・情報を整理した上で、提案としてまとめることが必要である。

またマッピング作業を各々のアカデミアで行わなくてもCDISC標準を使えるようになるためにはパブリックドメインに「既にマッピングされた事例」が大量に存在することが必要である。正しい変数と選択肢にマッピングされた症例報告書の実例が十分に利用できれば、それを模倣するだけで全てのアカデミアにおいてCDISC標準でデータが扱えるようになる。

(3) 研究開発の将来展望

本開発研究の実施により、CDISC情報の共有化が実現し、アカデミアでのCDISC対応の底上げが図られる。具体的には、CDISCを業務レベルで使用し、CJUGおよびJ3Cの活動を通じてCDISC関連の最新情報に触れているアカデミア等が一同に会し、CDISC標準導入に関する課題・情報を討議・整理した上で提案が報告される。またCDISC標準で既にマッピングされた臨床研究・治験の情報を誰もが利用できる仕組みが作られることにより、どのアカデミアであってもCDISCの詳細な知識が無くとも、それらを使用し速やかな導入が可能となる。このように本開発研究の成果により日本全体のアカデミアのサポート体制についての提案がなされると同時に、サポート体制の一案が試行される。CDISC標準をベースに業務が行える状態にするということは、データの二次利用も含め品質の向上とコスト低下の両方が同時に見込めるインフラを整備することであり、これが実現すると長期的な国力上昇に直結する。この仕組が更に拡大し日本のアカデミアがCDISC情報をパブリックドメインに置くことが常態化した場合には、日本語でのリソースが多くなるため、世界における日本の優位性が高まる。日本が世界に先駆けてアカデミアが日常的にCDISC標準で仕事をするようになることは、戦略的にも極めて大切であり、日本の医療分野において大きな利益をもたらすと考えられる。

2.研究開発の内容

(3)アカデミア間CDISC情報共有ポータルサイトの構築

2019年度:データセンターを有する施設のノウハウを可能な限り国内の他施設に広く情報提供するためにインターネット上にアカデミア間情報共有ポータルサイトの構築に必要な仕様策定を行う。

2020年度:データセンターを有する施設のノウハウを可能な限り国内の他施設に広く情報提供するためにインターネット上にアカデミア間情報共有ポータルサイトの構築を行う。

2021年度:ポータルサイトのコンテンツとしてCDISC標準導入において正しく行うことが最も困難なマッピング作業を軽減するために、既にSDTM変数がマッピング済みの症例報告書(aCRF; annotated case report form)等を公開する。またそのマッピングが正しく行われているかどうかをコミュニティで品質管理していくプラットフォームをパイロット的に運用開始し、実際に試験にて使われたaCRF等のデータ登録を行う。